機械化する脳

お稽古場でT先生がお点前を見てくださる時、お点前のひととおりの流れの中で、同じポイントの所、同じタイミングで、同じフレーズの言葉を側で必ずかけてくださいます。
・茶碗手まえよこよこ
・置いたところ置いた手で
・お茶が入ったら、水指のふた
・お水一杓、ふくさ腰
・茶碗を置いたら、主客総礼
などなど・・。

 

私はそれらを言葉遊びのように覚えていきます。呪文を唱えるように。
自分がお点前している時、それらの言葉がテープレコーダーのカセットテープから音が流れるように、頭の中でその節が再生されていきます。そのとき頭の中がなんだか機械化されていく、そんなイメージがします。(残念ながらデジタルではありません・・笑)
その作業は私自身が今まで自由に生きすぎててそれまでに体験したことがなかった事なのもあります。今、私が茶道が面白いと感じている事のひとつは、そんな自分の脳が機械化(整理され)され矯正されていく過程が、とても愉快で気持ちいい事なのかもしれません。
少しおおげさな言い方かもしれませんが、私はそんなところにも喜びを見い出しています。

なので、先生の前でお点前している時の私は、か~な~りぶつぶつ言ってます。ときどき口からも出てますが。
その再生されたフレーズをひとつひとつたどって動いていくと、あら不思議!!たちまちお茶が点ちます。
でもなにか一つフレーズを逃したり落としたり間違った手順をすると動きはとまります。残念ですがその先の手順に進めないのです。お茶はその辺りが茶道って、とても合理的です。進めなくなっているのですから。
その場合は頭の中でテープを間違った場所まで巻き戻して、間違ったところからやり直さなければいけません。アナログですね~。
ノーミス(間違えないで)でお稽古再生が終わるとそれはうれしいです。まぁそんな事はめったにありません。どこかしらでつっかえたりして間違えてしまいます。お稽古というのはそれを何年も何年も訓練してお茶の動作というのを身体にたたき込んでいく作業なのかもしれませんね。

先生も自分がこれまで学んで培って身についた動作一節一節を、生徒ひとりひとりにちょっとずつたたき込んでいくのですから、ほんと地道な作業されているのだと思います。
私の脳はまだガッチャガチャの機械化ですが、先生の頭の中はきっとすっきりとデジタル化されていると思います。
そう思うと先生の域に達している方ってすごいですね。私の頭ももっともっと進化したい~~!!


コメント (3)

  1. mangrove より:

    わー・・・・悲惨!

    そんな感じをイラストにしてくれて、ありがとう!!(M2)

  2. カイユ より:

    先生が天に召されたとしても、私たちが生きている限り
    先生の声は私たちの頭の中で再生され続けるでしょうね。

    それにしても、すばらしいイラスト!!!

    • mangrove より:

      それにしても騒々しい弟子だこと・・・。これ、かなりリアルな姿よ。

      先生が目玉おやじ風になってるぅ~。

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