蛍茶会 岡崎 おうる工房

お稽古が終わったとある水曜日の夜に、杜鵑草庵の皆で岡崎まで蛍を見に出かけました。
場所は岡崎の蓬生町というところで、Uさんのアトリエである”おうる工房”の場所に連れていってもらいました。
Uさんはふくろうの石彫りをされる作家さんです。
ここ蓬生町は、蛍の里で地元では有名な場所なのだそうです。目的の場所に着いたときには、もう暗がりになりかけていて
辺りの様子は伺い知ることはできませんでした。

Uさんは以前に茶道をされていたそうで、風炉釜に炭やお道具もいろいろ準備して、お湯も沸かしてくれて、
私たちを待っていてくださっていました。お部屋には、「緑涼」と書かれた蛍のお軸もかかっていました。
なんて細やかなお心使いをする方なんでしょうか。

外でふいに誰かが目の前に平家蛍がいるのをみつけて、その蛍をつかまえて部屋の中に放ちました。
それでは蛍さんもわれわれとお茶会を楽しんでいただきましょう。


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お部屋の中で準備してきたお弁当を食べて空腹を満たし、その後お部屋の蛍をお主客に見立てて、
電灯は消し、蛍の光と、炭の火と、蝋燭の火のなか、カイユさんのお点前でお茶をいただくこととなりました。
 

 ぼんやり薄暗の光のなか、カイユさんのお点前がしっとりと美しく、なんともいえない幽玄で幻想的な空気感を
つくりだしていました。お部屋の中にいた蛍も、きっと彼女のお点前にすっかり見とれていたことでしょう。

ほんとうに素敵でした。

 

 

Uさんが準備してくれた主菓子も頂いて、さぁそろそろ蛍の出番も本番になってきたかしら? 夜もふけた八時すぎがちょうど見頃なのだそうだ。様子を見に外に出たら、す~っとキミドリ色の光りがついたり消えたり。 いるいる。あっちにも、いるいる~。150mくらい離れていている蛍の光もしかと肉眼で確認できました。
たまたまそこに居合わせたUさんの親戚という方が蛍を見にきていらっしゃって、ここは「岡崎のチベットなんだよ」と教えてくださいました。
”チベット”といわれることに面白くおかしく思いましたが、たしかに市内から少しだけ離れたこの場所なのでしたが、
携帯の電波はすでに圏外になっていました。

辺りは街燈も無く、皆でいたから居られたものの、もしひとりでここに迷い込んだらとても不安になるような
暗がりの場所です。
でもそんな中に、ふいに所々に灯篭にUさんがつくった石彫りのふくろうがちょこんと鎮座しており、
ふっくらと、なんともかわいらしい姿形でこちらを見ていました。
 
Uさんが彫るふくろうは、目にオニキスの石がいれてあり、暗闇の中でもその目が独特の存在感を放っています。
それを見ていると不思議とこわさもなくなり、違う世界の中にまぎれこんだような感覚になるのでした。
しばらくして、Uさんが蛍が群集で見られるいい場所があるんだよ、とのことでワゴン車に皆で乗り込み
棚田があるというさらに山奥へ連れていってくださいました。
そこは山林の中のなか、もののけかイノシシかがでてきそうなほどの真っ暗闇の道端でした。
暗闇にようやく目も慣れた頃、草だらけの棚田の両脇に小川がながれているがのがわかり、川の中のぼうぼうと茂った
草の間からも無数の光が見えはじめてきました。辺り一面に、点々と星をちりばめた銀河のように蛍が光を放っている
のがわかりました。それが時々ふわ~りふわりと空を飛んだりしています。
な~んて!きれいなんだろう。
そしてさらにUさんが車のハザードランプをカチカチとつけたら、それに受け答えるかのように光のまたたきが、
またさらに光が強くなったようでした。
見ていた側で皆が”わーっ”と歓声が起きました。これは夢なのかと思うほどに見事な蛍の光の競演なのでした。
素晴しい光景でした。
 蛍は垂井に住んでいた子供のころに見た記憶はあります。田植えの時期が終わって夏休みに近い朝方に毎年
ヘリコプターで農薬を田んぼに撒布していた時がありました。
その撒布が終わると田んぼにいた害虫はもちろん、タニシや蛍までもが、すっかりいなくなっていました。

最初はその事にがっかりしてましたが、農薬撒布も毎年の出来事となり、そのうちに蛍の存在さえも忘れて
いったように思います。
蛍はほんとうにそれ以来で、それからずいぶん年月がたちました。またこうして、こんなたくさんの蛍を再び
見ることができたなんて感激でした。

なにげなく、さして気負いもなく皆で出かけた蛍狩でしたが、Uさんのお心使いのおかげで、思い出深い蛍茶会となったことがほんとうにうれしく思います。ありがとうございました。

楽しい夜でした。杜鵑草庵の皆様もほんとうにありがとうございました。
 
 
 Uさんと水曜日の女たち~~!


コメント (2)

  1. ane より:

    蛍茶会素敵☆
    今年は、まだ蛍見てないな…
    水の綺麗なとこいかないとね…

    昔、子供のころ、蛍狩り連れていってもらったの覚えてる?
    虫かご一杯の蛍の灯りの下で寝たの。
    翌日には、死んじゃってて、悲しかったけど。

    • mangrove より:

      そうだったね虫かごに蛍いっぱいとったね。覚えてる。

      蛍みると、胸キュンするよ。

      東北方面ならこれからなんじゃない?子供たちにも是非見せてあげて!

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